AV男優のススメ

AV男優日記
”4月1日:沖縄の海にて”

念願の沖縄ロケ行ってきましたよー!
AV男優歴10年。ロケもいろいろ行ったけど沖縄は今回初めて。
海が大好きな僕にとってこのチャンスを逃すわけにはいかない!
他の仕事のオファー5つも断っちゃった。(ゴメンナサイ!)

沖縄ロケはAV男優(女優も)にとって5つ星級の期待感がある。
それはサイパンやグアムには勝つが、ハワイには弱冠負けるって感じかな?
海外はアメリカ本土しか行ったことがない僕にとって
ハワイはちょっと行ってみたいかも。
正月に有名芸能人が行くでしょう!あのステイタス感に憧れてるのかも^^
僕もそういう御身分に早くなりたいものですなあ。

いやあ、まだまだ沖縄は夏、夏、夏!
まだまだ青姦のシーズン真っ盛りって感じで頑張っちゃいましたよー。
やっぱ沖縄って土地は男も女も開放的にするっていうか、
マッパでいることが自然なんだよねえ。
万座ビーチ近くのプライベートビーチでの撮影もいつも以上に
盛り上がっちゃった。

沖縄の砂って真っ白でサラサラで、その上での絡み(SEXシーン)は
開放感いっぱいでほんとに気持ちよかった。(一度お試しあれ^^)
でもその細かい砂が女優さんのアソコに入っちゃったり、
岩場では小さな貝でお尻を切っちゃったり、
実は結構大変なこともあったりして・・・。

でも海はやっぱり信じられないくらいにキレイだった。
透明感が違うっていうか、海底の砂や空すべてが違うんだよね。
女優さんの柔肌もとっても美しく、太陽の光にキラキラ輝いて見えた。
美しい自然の中で見ると女性の身体ってつくづく美しいなあって思った。

撮影自体はかなりハードで疲れた〜。
地方ロケってのは制作サイドの立場としては、
男優も女優も24時間拘束できるわけで、
この機会にいっぱい撮っちゃおうってとこあるんだよね。
一方女優さんと親密になれるっていうこともあったり、
監督やスタッフとゆっくり話せるっていう良いこともいっぱいある。

まあ今回は伊豆や勝浦じゃないからねえ。
なんてったって沖縄ですからねえ!!
何があっても5つ星!
今回のロケで沖縄ほんとに気に入っちゃった。
今度ゆっくりプライベートで行きたいねえ。
泡盛もおいしいしねえ。
海と酒と女に酔いしれた沖縄ロケでした。^^


”4月4日:エッチ好きな元デパガ”

AV女優になる理由は人それぞれだと思う。
多いのはやはりお金!!
そこには様々な事情がある。
よく聞く一番多いのはホスト遊びのツケ!
あるいはその軍資金稼ぎのため・・・。
結局は果てしない欲望の見返りとしての
多額の借金!!

人間の欲望をお金に換えて、
また自分の欲望を満たす。
それは底無し沼に嵌っていくようでせつなくもある。
そんな女優さんがお相手でも
AV男優は常にバッキンさせなくちゃなんない!
ノリが悪いとほんと辛いんだけどねえ。

それぞれの個人的な深い事情を聞くわけにもいかないし、
暗く沈んでいる女優さんの場合は腫れ物に触るようにとっても気を遣う。
でもそんな女優でも頑張って感じさせて、
盛り上げて、官能的なシーンを創らなければならない。
それもAV男優の仕事のひとつだと僕は思っている。

しかし、今日の女優は違った。
彼女に悲壮感や迷いは微塵も感じられなかった。
まるで遊園地に来てるかのようにテンションは高くハシャいでいた。
彼女曰くエッチが大好きなのだと・・・。
毎日でもしたいんだって!!
最近は結構多いんだよねえ。こういう娘が!

確かに男優としてはやりやすいんだけど、
こういうタイプは本気で感じさせてあげないと機嫌を損ねたりするので、
男優テクニック総動員で頑張らなくてはいけない。
これもまた疲れるんだよねえ。

とにかくその元デパガの彼女は凄かった!
「今日はヘロヘロにしてください!」だって!!
現場が続いてて疲れ溜まってる時に限ってこれだよ。トホホ・・・
まあ頑張りますか。
負けないぞー。

とは言いつつも、なかなか手強かった。
彼女のイッた回数は数え切れないほど。
まさに底無し!
底知れない女の欲望に恐ろしささえ感じた。
監督の合図で発射体制に入ると、
「まだイッちゃヤダ」って!
こっちは仕事なんだぞ!!

こういう女優さんと仕事するといつも不思議に思う。
今日の彼女も彼氏がいるんですよ!!
「やっぱり男優さんてすごいねえ。
彼氏とはもうできないかも。」なんて言葉聞くと、
悲しいよねえ。
彼氏が聞いたら泣くよ。

そんな時いつも言う言葉がある。
「彼氏とのSEXには愛があるじゃない!」って。
そう!それはかけがえのないもの!のはず?だよね??
でも、彼氏とのエッチに不満があるってことは
彼にも多少なりとも問題があるのかなあ。

そんなことをいつも考えていると、
SEXは愛の証ではないのではと思うことがある。
しかし僕はエッチという行為が
最も深くお互いの心と体を結びつける瞬間だと
今も思っている。そう信じたいよねえ。

SEXにロマンがなくなったら終わりだよねえ。
単なる生殖行為になっちゃう。
AVも昔のドラマものとかいいよねえ。
アダルトビデオに愛の手を!
AV男優に幸あれ!

”4月5日:熱海にて”

AVのロケ地として熱海、伊豆方面は結構多い。
熱海は何度行ったことか。
僕はロケで地方に行くとよくお土産を買うのだけれど、
熱海辺りだと目新しい土産物もなく、
いつもありきたりに温泉まんじゅうやかまぼこなどを買っている。
今回もかなり迷った挙句、結局かまぼこに決定。
撮影の内容は人妻不倫温泉旅行物。
泊まった宿は決して大きくないが雰囲気のある古い温泉旅館だった。
なかなか人気の宿らしく他にも若いカップルが泊まりに来ていた。
ここは貸切りできる露天風呂がたくさんあるので
きっとカップルに人気があるのだろう。

撮影は順調に進み、食事の時間になった。
いやあこれがびっくり。
AV撮影のロケ弁とは大違い!
なんと舟盛りですよ!
伊勢海老あり、サザエあり、アワビあり!!
僕の大好きなビールもあり!涙、涙!

こんなおいしいロケもあるんですよー。
やっぱりAV男優は辞められません。
部屋からは海が見えて、潮風がほんと気持ちよかった。
そして温泉三昧。

そうそう忘れちゃいけません。仕事仕事!
撮影の方は順調にクライマックス。
待望の貸切露天風呂での絡み撮影。
貸切露天風呂は、もちろん仕切りはあるものの隣り合っていた。
つまり隣に誰かいると声が丸聞こえになってしまう。
隣に誰もいないことを祈るしかない。

いざ撮影は始まった。
案の定、僕の愛撫が始まると静かなさざ波の音と共に彼女の喘ぎ声が
星空に響き始めた。
すると、その時、隣の露天風呂に誰かが入って来る気配が・・・。
そう、確実に誰かが隣の貸切露天風呂に入っている!
まずいなあ。

その時監督は、とっさに洗い場のシャワーを全開に出し始めた。
な〜るほど!女優の声をシャワー音で掻き消そうってことか!
そして撮影は続行され、絡みのシーンも順調に進んだ。
隣は静かになっていた。
聞き耳をたてているのか・・・?

その時!!
なんと!隣からも女性の喘ぎ声が・・・!
まるで輪唱のように,隣り合った女性の艶めかしい喘ぎ声が夜空に響いていた。
隣の声はかなりでかい!
おそらくバックで突いてるらしく、パンパン音が聞こえる。
そのリズムに合わせて闇夜をつんざく激しい声!
声の感じはかなり若そう。

その声を聞いてると、こっちも妙に興奮してきて徐々に盛り上がる。
すると、そのうち隣は急に静かになった。
どうやらエンディングを迎えたらしい。
あまりの早さにちょっと拍子抜けした。
その後こっちは通常の仕事モードでこちらもエンディング。
今日の仕事はこれでAll Finish!

隣で繰り広げられた素人さんの生々しいSEXの音はエロかった。
しかしそれは驚くほど短かった。およそ3分!?
こちらの声を消すためのシャワーの音は、
隣の声を消すためのものに取って代わった。
素人さん恐るべし!

次の朝チェックアウト時、
若いカップルが3組眠そうにボロボロの姿でロビーに滑り込んできた。
みんな寝ないで頑張っちゃったのねー。
ボロボロで、目が腫れた彼女達がかわいそう。
ちゃんと寝かせてやれよ!
SEXは熱海でしかデキナイわけじゃないでしょ!

一方こちらの女優さんは、睡眠バッチリ目もぱっちり。
化粧もバッチリキメてとっても輝いて見えた。
ボロボロカップル達の男性陣は充血した目でAV女優さんを
穴が開くほど恨めしそうに見ていた。まだやり足りないのか!バカ!
もちろんその横で使用済みダッチワイフchan達の目は殺意に満ちていた。
君たちの将来に幸あれ!


”4月7日:手強い相手”

今日の女優さんはデビューの娘だった。
デビューの娘っていつも気を遣う。
この日が初めてな訳だから知らないことばかりってのもあるけど。
特に大変なのはまだ出演を迷ってるような娘が来た時!
これはかなり手強い!

今日の女優は迷ってるどころか
朝からずっと「帰りたい、聞いてない」の連続でやる気全くなし。
いつ怒って帰っても不思議じゃない状況だった。
怒りたいのはこっちなんだけどねえ!
スタッフもお手上げだった。

女優さんが愛想ないと現場の雰囲気は最悪なんだよねえ。
こんなに手強い娘は僕もはじめて。
朝会った時も挨拶なし、目も見てくれなかった。
人間にとって無視されるほどつらいことはない。
でも彼女に対して不思議と怒りは湧かなかった。

僕は怒りよりも先に悲しくなった。
彼女はどうして此処にいるのだろう?
なぜAVに出なくてはならなかったのだろう?
何か計り知れない事情を持っているであろうこの新人女優が
とっても気の毒に思えたのだ。

僕は昔から,誰もが苦手だという人間ほど仲良くなるのが得意だった。
彼女に対しても、猛獣を飼いならすかのように少しづつ慎重に話しかけた。
最初はずっと無視していた彼女だったが、ある言葉に反応した。
「早く帰りたいのは俺も一緒だよ」と言った途端、彼女は僕を見た。
彼女の気持ちに共感を示した途端に状況は変わった。
みんな趣味で集まっているわけではない。
これは仕事なのだと実感したのかもしれない。
その後の彼女は少しづつ打ち解けていった。
しかしSEXシーンまでたどり着くにはまだ程遠い気がした。

休憩時間には彼氏のことや僕自身のことなど他愛無い会話を心がけた。
AV男優も普通の人なんだと分かって欲しかった。
するといつのまにか彼女の警戒心は取れていた。
そのうち彼女のほうから話しかけてくるようになった。
笑顔まで見えはじめた。
なんとかなりそうな気がしてきた。

そして絡みの撮影の準備が始まった。
彼女がなかなかシャワーを浴びに行こうとしないので、
「シャワー先どうぞー」と声を掛けた。
彼女は諦めたかのように浴室へ向かった。
やはり絡みは無理かな・・・。

バスローブ姿でシャワーから出てきた彼女は朝の暗い表情に戻っていた。
たぶん初の絡みシーンを前に緊張してるのだろう。
こういう時は僕もいつもより緊張する。
いつもより熱いシャワーを浴びて緊張をほぐした。

さあ、ベッドが舞台。
監督の「スタート!」の声が、僕に気合をいれるかのように響いた。
彼女はOL風の衣装を着ていた。
その上から静かに愛撫していく。いつもよりやさしく、慎重に。
彼女の唇から微かに吐息が漏れ始めた。

服を慎重に脱がしていく。
彼女は諦めたかのように目を閉じている。
20歳のきめ細かい色白の柔肌が少しづつ露わになっていく。
服を脱がして、背後からそっと抱きしめようとした瞬間思わずハッと息を呑んだ。
彼女のわき腹から腰にかけて肌をえぐるように大きな傷跡があった。

おそらく一瞬僕の動きは止まったと思う。
それほど信じられない深い傷だった。
きっと何かの手術痕だろう。
確かまだ宣材(営業用の資料、写真やプロフィールなど)もないって言ってたな。
おそらく事務所の人もまだ彼女の体まで見ていないのだろう。
なるほど、彼女の異常なまでの警戒心の訳はこれだったのか・・・。

次の瞬間、彼女は動揺した僕に気付き、悲しく伺うような目で僕を見た。
僕が「大丈夫だよ」と優しく小声でささやくと、彼女は「ありがとう」と呟いた。
すると彼女は安心したかのように全身の力を抜き、僕に身を任せた。
その後、僕等はしっとりと熱く絡んだ。優しく、優しく。
そのあまりにも目立つ大きな傷を隠すような体位で・・・。

そして撮影は無事終わった。
撮影後の彼女は何と笑顔だった!
それは何か吹っ切れたかのようなすっきりした笑顔。
今日初めて見た表情だった。まるでそれは別人。
彼女が最後に「やっぱり男優さんって凄いね」って言った言葉は
何よりもうれしく、重みがあった。
「君こそスゴイよ!よくがんばったね」ってお礼の言葉を返した。

自らの弱みやコンプレックスをさらけ出すことで彼女は強くなれたはずである。
しかし彼女はおそらく今日でAV女優を辞めるかもしれない。
なぜならもう彼女にとってそれは必要のない行為なのだから・・・。
もし今日の撮影で彼女の心の曇りが少しでも晴れたなら、
僕の猛獣使いの腕前もまんざらではないのかもしれない。
でも今日はいつもの10倍疲れた。
今日は別料金でギャラ貰いたいねえ!


”4月8日:木更津AV男優拉致事件”

昨夜監督から電話があった。
「明日は千葉行くからちょっと朝早いよ。新宿スバルビル前に7時で。」
早いなあ。僕は朝が苦手なのだ。朝早いと前日の酒がまだ残っていたりする。
早く寝ろって?その通り!それを分かっちゃいるけどやめられない^^
お酒だけはやめられません。お酒やめればもっと貯金できるのにねえ。

というわけで、今日は5時半に起きてシャワーを浴びてカップうどんを流し込んで何とか間に合う時間に家を出た。
今日は男優3人、女優3人って言ってたなあ。千葉かあ・・・。千葉?
千葉のどの辺だろう?まあ、九十九里辺りの海か、館山の温泉?御宿でナンパ物かな?
僕は集合場所と時間以外のことをあえて聞かないようにしている。
内容や、女優で仕事を選ぶのは監督に悪い印象を与えると思うからである。
つきあいのある監督なら僕に何ができて、どんな女優が苦手かまで把握している場合が多いので、
いちいち確認する必要はない。そこにはお互いの信頼関係がある。

しかし今日は少し違っていた。
今日の監督さんとは、そこまでの信頼関係はなく、男優のキャスティングに拘りを持ってはいなかった。
つまりスケジュールさえ空いていれば誰でもいいということである。
僕はそういう監督さんとはあまり仕事をしたくない。
今日の仕事は魔が射して請けてしまったと言ってもいいかもしれない。
嫌な予感がふとよぎった。

7時5分前、新宿西口スバルビル前に到着。
ここはアダルト系に限らず、撮影クルー集合場所のメッカである。
早い時間にも関わらず今日も幾つもの撮影隊が集合し始めていた。
中には知った顔のスタッフや女優、男優、マネージャーさんなどがいた。
スバルビル横には観光バスが並び、旅行者らしき年配の女性が集まっていた。
僕は今日お世話になる撮影スタッフを探す。
そして程なく合流できた。

「おはようございまーす。」
あいさつはどんな仕事においても基本だ。
監督は携帯で話しながら、僕に軽い会釈をした。
女優らしき姿が見えないところを見ると、おそらく電話の相手はマネージャーさんなのだろう。
すでに2人の男優は到着していた。
2人ともよく会う男優さんなので軽いあいさつの後、すぐに話に花が咲く。

「眠いねえ。」
「眠い、眠い。」
「今日の内容知ってる?」
「聞いてない。」
誰も内容を全く知らなかった。
「海行くらしいよ。」
「じゃあナンパものかあ」
「ナンパものは、結構出づっぱりで大変なんだよなあ。」
そんなこんな、だべってると、AD君が寒いから車に乗ってるようにと男優陣を促した。
後になって考えると、これはAD君の優しさではなく、作戦だったのだ。

男優陣は白いハイエースにそそくさと、乗り込んだ。
こういう車に乗ると、昔、男優で食えなくてペンキ屋のバイトをしていた頃を思い出す。
その頃のギャラは今の3分の1だったことを思うと、自分も出世したもんだなあと実感させられる。
密室の堅いシートに並んだ僕達は、遅れている女優の話をする。
「3人とか来ると、必ず1人は知ってる娘がいるんだよなあ。」
「いるいる。お初がいいなあ。」
「俺は気に入ったら何度でも会いたいけどなあ。」
「ロリ系がいいなあ」
「俺だめ!巨乳じゃなきゃ。」
「あれ?おまえギャル好きじゃなかったっけ?」
男優達は勝手な妄想をふくらませる。

ある男優が窓の外を指差して、
「あれが今日の女優だったりして!」と冗談っぽく言う。
スバルビル前の角に自動販売機がいくつか並んでいる。
そこには、おそらく前に並んだ観光バスに乗り込む予定のオバサン3人が立っていた。
「俺ぜったい無理!」
「あれは、さすがにありえないでしょ。」
「ないない!」
その後も男優陣はくだらない話で盛り上がっていた。

15分ほど経っただろうか。AD君が運転席に乗り込んできた。
「あれ?女優さんは?」と男優R君が尋ねた。
「女優は監督の車に乗って、もう出発してます。」とAD君。
確かにこのハイエースに女優さんを乗せるわけにはいかないよなあと僕は納得した。
そしてAV男優3人を乗せたハイエースも千葉へ向けて出発した。
それが地獄へ向かう道だとは誰も知らずに・・・。

道中、僕ら男優はすぐに深い眠りに堕ちてしまった。
気づくと車はアクアラインに入っていた。
見渡す限りの海、空は曇っていた。
「海ほたるでトイレ休憩しまーす。」というAD君のだるそうな言葉で全員が起こされた。
「ところで千葉のどこへ行くの?」と聞いてみた。
「木更津っす。」とAD。
「漁港???」
前を走る2000年式のシボレーアストロは見覚えがあった。
監督と女優が乗った車がいつの間にか前を走っていたのだ。

海ほたるの駐車場に2台の車は並んで停めることができた。
僕らは車を降りて、監督と女優さん達がアストロから出てくるのを心待ちしていた。
扉が開き「おはようございまーす。」という声と共に降りてきたのは・・・。
「おは・・・」声につまった。
目を疑った。
「まさか!」
男優陣は皆金縛りにあったように立ち尽くしていた。

そこに降り立った女優であるはずの3人は、朝スバルビル前で見かけた観光客風のおばさん3人組だった。
どっから見ても五十路は超えてるであろう貫禄あるおばさんである。
もちろん50代の女性でも魅力ある方も存在することは、知っている。
しかし今日のお三方は、一人としてそれにあてはまる魅力の欠片すら持ち合わせていなかった。
一人は、大木凡人にそっくりな丸々と肥えたおかっぱ頭のおばさんだった。厚いレンズの眼鏡がキュートだった。
一人は、中学時代のベテランの英語の先生に似ていた。その先生は英会話が苦手だった。あだ名はエッブリワンだった。
一人は、武蔵丸とカバを足して2で割ったような豪快なおばさんだった。泥水をお腹いっぱい飲んだような腹をしていた。
しかし僕達はもう引き返せない場所まで来ていた。
あきらめるより他なかった・・・。アーメン。

確かにAV男優という仕事は毎回好みの女性とSEXができるわけではない。
そうしたいのなら風俗へでも行ったほうがいいだろう。
特に男優になりたての頃は近親相姦物の息子役などが多いのでどうしても年上の女優さんとの共演が多い。
30代、40代はあたりまえ、50代なんてこともある。
とは言え、大抵はそれなりに、つまりその齢の割には若い綺麗な女優さんが多い。
しかし今日は違った。たとえ服を着ていても人前に出るべきヴィジュアルではなかった。
いつもなら早く脱がしたいと思うのだが、今日に限っては頼むから服を着ててくれ、というより近づかないでくれという気持ちでいっぱいだった。

そんな思いとは裏腹に、彼女らは気さくで、人懐っこ過ぎるくらいだった。
所謂商店街に生息するおばさんと同種同類の生き物だった。
いままでそのような生き物をSEXの対象として考えたことは一度もなかった。
しかし、その考えたくない現実が迫っていた。
彼女達はやたらと馴れ馴れしく僕達に話しかけてきた。
内容はどうでもいい井戸端会話だった。
とにかく彼女達は喋り続けた。出会って10分で僕はへとへとに疲れた。

目的地の木更津までは先ほど寝たせいかまったく眠くはなかったが、男優陣のテンションは海の底より低かった。
護送される犯罪者もきっと同じようなテンションなのだろうと思った。
沈黙を乗せた車は木更津のとある漁港に到着した。
海に着いても男優達は誰一人車から降りようとはしなかった。
外では表紙用のスチール撮影の準備が行なわれていた。
スタッフのテンションも今日は低かった。

写真撮影が始まった。今日の女優の衣装は、モンペのようなものだった。いったいどこで買ってきたのだろう。
手には鯖を一匹持っていた。こんなパッケージのDVDを誰が買うというのだろう。
買う人がいるから作るのだとしたら、今の僕は買う人達を恨まないわけにはいかない心境だった。
こんなに早く帰りたいと思ったことはなかった。

ムービーの撮影打ち合わせが始まった。
監督の信じられない言葉に耳を疑った。
「カメラ渡すからその辺の物陰で、撮影してきてよ。」
「エッ!!監督カメラ回さないの?」
まあ見たくないのは分かるけど、全部男優任せ?そんな現場あり?
カメラを渡された男優陣はそれぞれに撮影場所を探しに出かけた。

幸いここの漁港は寂れているというか、人影も少なく、車の出入りも少なかった。
撮影ポイントはいくらでもあった。
僕のパートナーは武蔵丸だった。彼女はあまりにもこの漁港にマッチしていた。
肌のどす黒さといい、たるんだ顔の深い皺といい、潮風で錆びたポンコツ車のようだった。
スタートはオナニーシーンにした。
場所は防波堤を選んだ。
見晴らしがよく、港に船が入ってくれば丸見えだが、迷ってる時間などなかった。
裸にしちゃえば、カバに見えるだろう!あれ、海にカバはいないか。

武蔵丸はローターでイキまくっていた。
その間、港に船が2回入ってきたが、気づかれないで済んだようだった。
まあ、カバに興味を示す漁師などいないだろうけど・・・。
そして無事、オナニーシーンは終了した。
防波堤で立ち上がった武蔵丸は自分の体重の重みに耐えられずよろめいて海に落ちそうになった。
僕は、落ちてしまえばいいのに、と思った・・・。

次はSEXシーンを撮らなくてはならなかった。場所はすぐに見つかった。
武蔵丸はやる気満々だった。
武蔵丸の年齢は56歳、息子が二人いた。
長男は僕と変わらない年で、孫もいるそうだ。おばあちゃんなんだ・・・。
話を聞けば聞くほど僕のテンションは下がる一方だった。
とにかく仕事を早く終わらせたかった。

絡みをスタート。SEXというより、武蔵丸と相撲をとっている気分だった。
腐ったあわびからは、潮の匂いと獣の臭いが漂っていた。
僕の陰茎は、愛撫されているというよりも食べられていると言った方がよかった。
挿入はそれなりに気持ちよかったが、何度か萎えた。
しかし、武蔵丸は気づいていないようだった。
苦労の末、僕はカバのお腹に発射した。
物凄い罪悪感と虚脱感が襲ってきた。武蔵丸は白目を剥いて満足気だった。
腹這いに倒れている武蔵丸を見て、僕は大金星を取ったと思った。

この後、全員での乱交など見せ場が盛りだくさんだったが、残念ながら気分が悪くなってきたので、
この辺で今日の日記は終わりにしたい。これを読む人のためにもね。
撮影は暗くなるまで延々と続いた。この監督とは二度と仕事をすることはないだろう。
帰宅した僕は、体の隅々まで石鹸で洗い流し、熱いシャワーで記憶をリセットしてから、
暖かいベッドに潜り、泥のように深い眠りについたのであった。
お疲れ様・・・・zzzzzz




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